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(2019/11/20 10:35 現在)

自転車文化がない韓国で自転車のレンタルが開始。その影響は?


2015年、ソウルでは自転車のレンタルサービス『タルンイ』が開始されました。自転車に乗る文化がない韓国では画期的なことです。交通渋滞が問題になる韓国で市民の新たな移動手段となるか注目を集めています。

自転車は生活の一部となっている日本

韓国の前に日本の自転車文化を考えてみましょう。そもそも日本は世界的に見ても自転車に乗ることが多い国です。街を歩くと必ず自転車に乗っている人を見かけ、至る所に自転車が停めてあります。

普及している自転車の種類も多く、いわゆるママチャリ(シティサイクル)から、折りたたみ型の自転車、マウンテンバイク、ロードバイク型のスポーツ用の自転車など、どれもよく見かける自転車です。老若男女問わず幅広い層が自転車を利用しており、通勤通学に自転車を使う人も珍しくなく、逆に自転車に乗れない人の方が珍しがられます。日本にとって自転車は移動手段として生活の一部となっています。

自転車利用者への教育や道路の整備も

日本の道路を見ても、日本は自転車が走行しやすいように、自転車先進国と比べるとまだ課題は多いですが、ある程度自転車用の道路を設けており、信号機もたとえ見通しの良い場所でも割と細かく設置されています。さらに交通安全に力を入れており、自転車利用者への教育も小学生時点から行なっています。

あまり自転車に乗らない韓国

一方、韓国では自転車に乗る人が非常に少なく2015年に自転車のレンタルが開始されるまで街で見かけることは極端に少なかったです。そもそも自転車に乗れない人も珍しくありません。そもそもなぜ韓国では自転車がこれまで普及しなかったのでしょうか?これには様々な理由が考えられます。

自転車が走行することを考えて道路が作られていない

道路そのものが自転車の走行に向いていないというのはかなり大きな理由でもあります。韓国では歩道が狭く、さらに石畳で凹凸が激しい路面が多いです。また路地も多く曲がり角が多いです。歩道と車道の段差が激しいため、あまり自転車が走れるような道路の作りではありません。

またそもそもソウルは地形的に坂道が非常に多い場所でもあります。そのため自転車に乗ると逆に大変でもあります。

地下鉄やバス、タクシーが安い

韓国では日本に比べて公共の乗り物が安いです。地下鉄とバスの利用だけでソウル市内割とどこでも行けます。しかもタクシーまで安いため、たとえ行きづらい場所であっても気軽にタクシーを使うことも多いです。そのため移動手段としてわざわざ自転車を使わなくても公共の乗り物で補えるため、自転車が入り込めるような需要がないのかもしれません。

寒さ

特にソウルは冬マイナス10度を下回ることが多く、道路が凍り、雪も降るので自転車が走れる環境ではありません。実際に2015年から自転車サービスが始まったものの、冬の利用者は少ないようです。厳しい寒さの中自転車に乗らなくても上記のように安い公共の乗り物で移動できるため公共の乗り物の方が好まれます。

駐輪場がない

自転車に乗る文化がないから駐輪場もないというのは当たり前ですが、ソウルの街を歩いていても駐輪場はありません。マンションにもほとんどありません。

…と、このような理由が考えられます。そのため韓国では自転車は移動手段ではなく、『スポーツ』または『レジャー』として考えられています。

ソウルで自転車レンタルサービス『タルンイ』がスタート

そんな自転車に乗る文化がない韓国で2015年から自転車のレンタルサービスがソウルで開始されました。『タルンイ(따릉이)』というサービスで、現在ソウルの街にはいたるところにはレンタル用の自転車がたくさん設置されています。白と緑カラーが目印となっている自転車『タルンイ』は、交通渋滞の緩和や健康促進などを目的にソウル市が運営をしているレンタル自転車となっており、街中ではたくさんの人が利用しています。

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ソウルの至る所で自転車に乗れるシステム

自転車レンタル『タルンイ』は事前にホームページ(https://www.bikeseoul.com:447/main.do?lang=ja)で申し込みをし、支払いを済ませれば15歳以上なら誰でも利用することが可能になっています。自転車がレンタルできる場所はソウル市内至る所に設置されており、自転車をレンタルした場所に必ず返却しなければならないというわけではないので、目的地に到着したらその近くにある返却場所に返せばOKという便利なシステムとなっています。

旅行に行った際にも利用可能

韓国在住の人は1~2時間の短時間使用の1日券、1週間、180日、1年といった単位で定期券を購入することができるようになっています。1時間利用する場合は1000ウォン(約100円)と手軽に利用することができるのも『タルンイ』の良い点となっています。韓国に観光に来た人たちが『タルンイ』を利用する場合は、1~2時間の1日券のみホームページで購入することができます。ホームページは日本語等の外国語にも対応をしていて、レンタルの仕方も丁寧に説明がされてあるので、外国人観光客も簡単に利用することができます。

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今後も自転車レンタルサービスは拡大へ

このように当初自転車文化のない韓国での自転車レンタルサービスの開始に不安要素もあったものの、自転車が普及し始めています。

報道によると、ソウル市は2018年までにソウル市内でレンタルできる場所を264ヶ所増やし、合計1540ヶ所、2万台の自転車がレンタルできるようにすることを目標として掲げています。平均500mごとにレンタルできる場所を設置することを目標にしており、33億ウォンの予算を投じていると報道されています。しかしそれと同時に様々な問題や課題が浮き彫りにもなっています。

参考: http://www.munhwa.com/news/view.html?no=2017120401071421076003

安全性が課題に

2016年は自転車10万台当たり1.37件の事故数だったものの、2017年は2.00件と自転車の事故がソウルで増加しました。このまま自転車のレンタルを増やせば、その分事故が増えるというのは明らかなため、安全性が課題となります。自転車用の道路の整備やヘルメットなどの着用も検討するとのことです。

参考: http://bike.moneys.mt.co.kr/articleView.html?no=2017121114058070400

ソウルでは厳しい寒さの冬である現在、自転車に乗る人が少ないため、また利用者が増える2018年の春に向けてこのような課題にも力を入れるようです。

自転車文化のなかった韓国で急激に利用者が増えた自転車サービス。ソウル市は市民の新たな移動手段になることを目指していますが、今後どのような形になるのか注目を集めています。